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第1部 積立不足額ランキングに異議あり 第2部 引当金が多い≠リストラに備えている 第3部 JALの企業年金で基本を理解しよう 第4部 陸運、海運、空運の企業年金を見てみよう
日本航空(JAL)が提出した有価証券報告書をもとに、企業年金の状況を図式化したものじゃ。
難しい言葉が並んでいますが、まずはどこを見ればよいのでしょうか?
まずは、真ん中の棒グラフを見てほしい。 退職給付債務と呼ばれるものじゃ。 退職金や企業年金は、従業員の勤続年数により大きく変わることは感覚的にも分かると思う。 貸借対照表と同様、仮に今、全従業員が退職したとすると、どの程度の債務が発生することになるかを示したものになる。
次は、積立不足額が貸借対照表に与える影響を見たい。 JALの場合は、利益剰余金がマイナスのため、株主資本を用いておる。 株主資本や利益剰余金に対する割合が小さければ小さいほどよい。 右図を見ると、積立不足額を貸借対照表に計上する(オンバランスする)と、株主資本の8割が欠損することが分かる。(税効果会計は無視)
年金積立額不足ランキングに意義ありで説明していた内容ですね。 ここまでは、大丈夫です。
理解してほしい点は、3つじゃ。
まず、ひとつめじゃ。 企業年金の貸借対照表だと理解してもらえればよい。 退職給付債務をどう手当てするかを示した内訳が右側のグラフになる。 一見すると左右は一致していないように見えるが、マイナスの項目が存在するためじゃ。
つぎに、ふたつめじゃ。 退職給付費用に占める年金資産の割合を見てほしい。 企業年金は、従業員と企業から集めた掛け金を元手に運用し、将来の退職金や年金に充てていく仕組みじゃ。 年金資産が多ければ、目標とする利回りも低くてすみ、企業活動に影響を及ぼすことも少なくなる。
最後のみっつめは、退職給付引当金じゃ。 ざっくりと言えば、 年金資産と退職給付債務の差額が、積立金の不足額じゃ。 差額のうち、企業が負担することになるであろう部分を、退職給付引当金として貸借対照表に計上しておる。 残りの部分も、一定のルールに従い、退職給付引当金として計上してくこととなる。
うーん、分かったような、分からないような…。
理想的な企業年金を図式化するとこんな感じじゃ。 実在企業ではなく、適当に書き換えた図なので矛盾した部分があるご容赦願いたい。 雰囲気だけでも理解できれば幸いじゃ。
第2部 引当金が多い≠リストラに備えている
第4部 陸運、海運、空運の企業年金を見てみよう